密度の濃い連携が必要【認知症の難しさ3】の続きです。
もっとも難しいのは認知症の根源的な問題です。認知症は加齢とともに現れる病気です。
年齢を経るにしたがって顔にしわが増えたり、脚の筋力が低下してふらつくようになったりします。
顔のしわがなくなる飲み薬や減少した筋細胞を増やして筋力を元どおりにする飲み薬は現在開発されていません。
脳の神経細胞が減少し、脳溝が広がっていくアルツハイマー型認知症も同じです。
失われた脳の神経細胞を増やして、認知機能を元どおりにする飲み薬は未だ開発されていません。
進行をある程度遅くする飲み薬はありますが、数年単位でみればやはり認知機能は低下していきます。
年齢とともに目がかすみ、耳が遠くなり、筋力が低下し、頭がぼんやりしていく、という自然の摂理から誰も逃れることはできません。
このように認知症は難しいため、我々認知症の専門家は
「認知症は治る」とは決して言えません。
我々が言えることは、
「正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫による認知症は脳外科手術によって症状が改善する場合がある」
「薬物療法によって認知症の進行をある程度遅くすることができる」
「認知症の行動・心理症状やせん妄は薬物療法で症状を改善することができる」
といったところまでです。
【認知症の難しさ】についての連載は、ひとまず終了です。
ありがとうございました。
医局Y.M
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