2023年7月13日、マヒドン大学シリラート病院長Visit Vamvanij医師や、タイ保健省老年医学局長、タイ社会開発・人間安全保障省高齢者担当局長、Hanno-Vejpong Geriatric Center(Thailand)代表の方々、計10名が当院の認知症高齢者に対する精神・身体合併症医療を視察されました。
国連によると、タイは2022年に高齢社会(総人口の14%が65歳以上)入りしており、「高齢“化”社会」から「高齢社会」までの経過年数は、20年(日本24年)と日本を上回っているそうです。社会保障制度や介護サービスなどの整備が不十分で、高齢者特に認知症高齢者への対応が大きな社会問題に発展する懸念が高まっています。
日本同様、タイ人の高齢者に多い疾患は、脳卒中・糖尿病・心疾患・慢性閉塞性肺疾患・認知症などが挙げられ、「老年病」の必要性や対応が求められています。介護においては、要介護状態にある高齢者は約95万人、そのうち、寝たきりの高齢者は14万3千人に上るとのことです。
そのような社会背景をもとに、高齢化率世界第2位である日本で、重度認知症高齢者に合った生活環境やリハビリテーションを提供している施設として、また、身体合併症のある重度認知症高齢者に対して、人工透析や新型コロナウイルス等の感染症対応も行っている当院の取り組みを視察されました。
マヒドン大学は1943年にタイで初めて医科大学として設立されたタイの国立大学で、シリラート病院は1888年に開設された許可病床数3,000床のタイ国内最大最古の病院です。Visit Vamvanij病院長のほか、Weerasak Muangpaisan老年病科長や医学部長が来院されました。
タイ保健省は、保健福祉、伝染病の予防管理・防護、国民の保健能力向上、法を遵守した保健公務の執行に関して責任を持つ省で、健康増進病院の財政支援も行っています。
Hanno-Vejpong Geriatric Center(Thailand)は、Vejpong Pharmacy(Hock Ann Tung)Co.,Ltd.,Thailandの方々が2016年に当院を視察された後、「飯能老年病センターのような施設をタイに作りたい」と、設立された施設です。
当院の木川理事長より、当院の理念や基本方針、内科医と精神科医による併診体制について、人工透析治療や新型コロナウイルス感染症への対応、日本における高齢者医療の現状についてなどをご説明いたしました。
病棟見学の際は看護・介護・リハビリテーションを見学され、認知症高齢者に配慮した構造設備や、医療・看護・介護上の工夫などに関心を示されておりました。
今回の視察をもとに、医療施設の開設など医療基盤の整備が進んだ際にはタイを訪問して交流を図りたいと思います。