新しい認知症治療薬、メマリー錠、レミニール錠承認へ【その3】の続きです。
海外で開発された新薬を、国内の患者様に処方できるまでの時間差を「ドラッグラグ」といいます。
日本は「ドラッグラグ」の期間が長いために、認知症の治療薬以外でも抗ガン剤など、その薬を必要としている患者様とご家族様に深刻な影響を与えています。
「ドラッグラグ」はどうして起きるのか。
海外で安全性が確認された新薬でも、日本人には安全ではない可能性があります。
その可能性を排除するために日本で再度「治験(治療の臨床試験)」が行われます。
この治験を早く効率的に済ませる体制が日本では整っていません。
東京大学大学院薬学系研究科医薬品評価科学講座の小野俊介准教授によれば、
「かつて厚生労働省は「ドラッグラグは製薬企業側の問題」などといって、ドラッグラグの解消に積極的に取り組んでいなかった」
とのことです。
しかし、患者団体や医学会、マスメディアからドラッグラグ解消への声が大きくなったため、厚生労働省は2003年ごろから治験環境の整備を始めました。
拠点整備や人材育成など進めたり、実際に審査や治験の指導を行う
「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構」
の審査官を増員したりと改善を図っています。
その改善の結果、
ガランタミンは1998年にスウェーデンで発売されてから13年後、
メマンチンは、2002年に欧州医薬品庁で承認されてから9年後に日本で発売予定となりました。
医局Y.M