第27回日本老年学会総会―その2― の続きです。
日本老年精神医学会は今回第26回となります。
6月16日のシンポジウム「皆で考えよう 認知症医療の難関」では、
飯能老年病センター名誉院長、黒澤尚先生が
「重度認知症治療の現場から;頑張ろう精神科医」というタイトルで発表しました。
認知症の治療や予防といった話では、大学病院の物忘れ外来を受診するような軽度の認知症の方の話が主になり、重度認知症については注目されていない現状。重度認知症の患者様にとって問題となるBPSDやせん妄について発表されました。
同じシンポジウムで、
筑波大学大学院人間総合科学教授、飯島節先生は
「重度認知症;重度に至れば、より自然な看取りが求められるという立場から」
という発表をされました。飯島教授は、「進行した認知症に合併した肺炎や栄養障害は、認知症という不治の病の一部であると捉えるべきであって、肺炎や栄養障害だけを治療することには自ずから限界がある。」 と発表されました。
私は、このご意見には違和感を覚えました。
今回の日本老年精神医学会の大会長である朝田隆教授の
「どのように厳しい国家情勢においても認知症高齢者は生きるに値する」
という大会挨拶と齟齬をきたしているように感じました。
飯島教授は、特別養護老人ホームや老人保健施設に入所している認知症高齢者の診療経験からのお話だったので、
私が日々接している認知症高齢者とは、患者様の年齢や症状など層が違うために違和感を感じたのかも知れません。
医局Y.M
第27回日本老年学会総会―その4― に続きます。
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