第27回日本老年学会総会―その1― の続きです。
月一回、飯能老年病センターに回診に来ていただいている
日本医科大学老年内科、中野博司准教授の発表は
「高齢者診療のディベートセッション・嚥下障害のある高齢者の栄養管理をどうするか」でした。
主に胃ろうの是非についての議論でした。
中野博司准教授は「80歳以下など適応を精査した上で、胃ろう造設を積極的に進めるべき」という発表でした。医療現場からの提言で理にかなったものと思いました。
一方の東北大学加齢医学研究所の大類孝准教授の発表は胃ろうのマイナス面を強調する発表で、アメリカの論文から引用して「胃ろうは食の楽しみ、個人との関わりを奪う」と指摘しました。
胃ろうを造設しても口から物は食べられます。
私が担当している胃ろうの男性患者様は、奥様が週に一回ケーキを持参して面会にいらっしゃいます。お二人で会話を楽しみながらケーキを召し上がっています。
「胃ろうは食の楽しみ、個人との関わりを奪う」
という指摘は私には理解できませんでした。質問をしようとしましたが、司会進行が悪く、質問を受ける時間が少なく、議論にならなかったため、質問できませんでした。
こうした議論で、「欧米では・・・」という大学の先生方の声が大きく聞こえ、日本の医療現場の声が届かないことが残念です。
医局 Y・M
第27回日本老年学会総会―その3― に続きます。
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