先日、熊本県で開催された(会期:平成22年6月24日~6月25日)
「第25回日本老年精神医学会総会」に参加してきました。
日本老年精神医学会は、1986年に「日本老年精神医学研究会」として発足、1988年に「日本老年精神医学会」として改組された”老年期の精神疾患についての研究や治療”について発表し、情報を交換する学会です。
印象に残った発表は、浅香山病院の繁信和恵先生の
「介護老人施設で対応困難な認知症の行動心理症状の検討」です。
大阪府下の老人保健施設やグループホームなど
全977施設にアンケート調査を行った研究です。
アンケートに回答した施設は430施設でしたが、
膨大な数であり、そこから抽出される結論には説得力がありました。
結論は
「施設で最も対応が困難な認知症の行動心理症状は興奮(特に他の入所者を傷つけたり、殴ったりしようとする)であった」
「次いで対応困難である認知症の行動心理症状は食欲あるいは食行動異常の体重の減少であったが、これは認知症の行動心理症状だけではなく、身体疾患によるものを含んでいる可能性があると思われた」
「専門医療機関には興奮(特に暴力行為)に対する速やかな入院治療が求められると考えられた」
などでした。
飯能老年病センターが提供している医療は、
認知症の精神科専門医による興奮、暴力行為がある患者様の治療ですし、
身体疾患による食欲不振、体重減少などの内科合併症も老年内科の専門医が治療にあたっています。
求められている医療をまさに実践しているのだという思いを強くしました。
他に、日本医科大学第二内科の石渡明子先生の
「認知症の鑑別診断におけるSPECTの役割と意義」
という講義も勉強になりました。
先週末、九州は蒸し暑い雨模様でしたが、ホテル内は快適で良い勉強ができました。
会場のKKRホテル熊本から見た熊本城、あいにくの雨模様でしたが新緑がきれいでした。
医局 Y・M