第109回日本精神神経学会学術総会(於:福岡国際会議場、会期:2013年5月23日~5月25日)に参加してきました。
認知症関連の分野を中心にご報告いたします。
第1日目の「認知症1(ポスター)」では、
日本医科大学千葉北総病院メンタルヘルス科の下田健吾先生の
「夕暮れ症候群にラメルテオンの少量投与が奏効した1例」
を詳しく説明します。
ラメルテオン(ロゼレム)は、「メラトニン受容体作動薬」と呼ばれる睡眠薬で、ふらつきの副作用が全くない薬で、私も多く処方しています。
「87歳女性。X-3年にアルツハイマー病と診断され、X-1年より当院に転医、初診時のHDS-R 16点、CDR 2。当初ドネペジル塩酸塩5mgで経過をみていたが、消化器症状および不眠が出現しガランタミン(max 24mg)に変更。X年8月より中核症状が進行し(HDS-R 10点、CDR 3)老人ホームに入所した。X年10月より不眠が目立つようになり、特に夕方帰宅願望が強くなり落ち着かず、逆に日中は意欲の低下がみられるようになった。不眠は改善して欲しいが、過鎮静にはならないようにして欲しいとの意向も踏まえ、説明および同意の上、ラメルテオン4mgを夕食後に投与した。投与後2週間後から夕方の不穏は減少し良眠できるようになり、投与4週間後より自発性の向上がみられた。X年12月現在、以前より意欲的に入所先の行事にも参加している。」「ラメルテオンは高齢者の不眠や、せん妄、最近では双極性障害の不眠や気分安定に効果的であることが報告されている。」
以上、長文になりましたが、メモしてきた内容です。
ラメルテオンは睡眠薬として使用する場合は8mgを就寝前に服用しますが、今回は「夕暮れ症候群」にも有効であったことが報告されました。認知症の患者様のなかに、夕方になると落ち着かなくなり、「家に帰る」と言ったり、幻覚・妄想が出現する方がいらっしゃいます。このような症状を「夕暮れ症候群」と呼びますが、わりと出現頻度が高い症状です。今後の治療の参考にしていきたいと思います。
会場に臨時の本屋さんができていました。
医局Y.M
第109回日本精神神経学会学術総会 -その2-に続きます。